静岡から医学部へ 〜杉本 望拓くん(浜松医科大学1年)〜

杉本 望拓くん(静岡聖光学院高校卒)
2017年浜松医科大学に現役合格。
兄も2015年に現役合格を果たしており、兄弟で浜松医科大学に通学中。

高いハードルだと決めつけなかったことが良かった

医師を目指すきっかけはあったのでしょうか?

中学生の頃から医師になりたいと思っていましたが、大きな転機となったのは、高校1年生の夏にボランティア活動をしたことと、浜松医科大学の先生の講演に参加したことです。

なぜボランティア活動と講演に行こうと思ったのでしょうか?

幼稚園年少のときからサッカーに熱中していたのですが、医学部受験の勉強に専念しようと思い、高校からはサッカーをやめることにしたんです。ところが、いざやめてみると、今までがサッカー中心の生活だっただけに、思ったよりも時間があるなと(笑)。ボランティア活動には、せっかくなので、勉強以外の経験もしてみようか、というくらいの気持ちで参加しました。ところが、そこで障害者支援施設を訪問することになり、子どもの発達障害の支援に興味を持つようになったんです。

そして、発達障害についてもっと知りたいと思い、浜松医科大学の先生の講演を聴きにいくことにしました。講演では、発達障害の子が増えていることを知りました。また、「一口に発達障害と言っても、いろいろなケースがあり、この人は障害があって、この人はない、というような単純な線引きはできない」「発達には凸凹があって、凸を生かしていく人も多い」といったお話を伺うことができました。

それから、そういった人たちが、社会にうまく適合したり、活躍するための手助けをしたいと考えるようになったんです。いろいろな支援方法があると思いますが、医師という職業こそ、最も大きな貢献ができるんじゃないかと気付いたんです。原因を解明する研究医、直接的に診療する臨床医、それに行政で大きな枠組みに関われる医系技官。医師になることで、貢献できる選択肢を広く持つことができます。決意がより明確になったというか、やりたいことと医師という職業とがはっきりと結びつきました。

本格的に医学部受験に取り組み始めた際の様子を教えてください。

中学まではサッカー中心の生活だったので、あまり勉強していませんでした。でも、特に問題だとは思っていませんでした。これからなんとでもなるだろうと高をくくっていたんですね。当然のように、勉強を進めるにつれて現実を思い知らされることになるのですが・・・。ただ、挑戦する前に高いハードルだと決めつけなかったことは良かったと思います。合格したときに「医学部って受かるもんなんだな」と思いましたから(笑)。医学部合学は、確かに大変ではありましたが、絶対に無理というレベルではありません。

特に苦手な科目はありましたか?

国語です。受験で必要なことは分かっていたのですが、何をどうやっていいのかがよく分かっていなかったんです。それが、塾でしごかれて、正直きつかったのですが(笑)、少しずつ「ああ、国語って成績上がるんだ」と実感できました。そのおかげで、高校3年時には成績が飛躍的に上がり、最終的には得意科目にすることができました。

ただ、小論文では、最初は自分の言いたいことと、読んだ人が受ける印象が、予想以上に違うということに戸惑いがありました。自分では「素晴らしいものが書けた!」と思っても、採点してもらったら、修正で真っ赤になって返ってきたことが何度あったか・・・。「特別なことは書かなくていい、聞かれていることにしっかりと答えよう」と思えるようになって、ようやく文章が伝わりやすくなったと思います。

これは、面接での受け答えにも通じます。面接では、事前準備も大切ですが、想定と異なる質問をされた場合には、「聞かれたことに対して答える」という姿勢の方がいいかなと思います。用意していた言葉にこだわり過ぎると、質問された内容と答えが食い違ってしまいます。

センター試験当日は、どんな気持ちで迎えましたか?

直前のセンター模試がひどい結果で、得点率が80%を切ってしまったんです。無駄に緊張してしまって。でも、「本番ができればいい」と、かえって開き直ることができました。

一方で、本番でも「絶対に何かが起きる」という覚悟はしていました。「全部上手くいくかも」とは、一切考えませんでした。想定通りにいかないことを想定していたというか。パッと見て分からない問題は出てくるものであって、そのときに「自分に解けない問題があるはずがない。一回、冷静になろう。そうすれば解ける」と考えられるように準備していました。そして、解き方に迷ったときにはペンを置くようにしました。これは本番でしかやっていないのですが、やって良かったです。

どんな効果がありましたか?

ペンを持ったまま考えていると、何かしら書いてしまうんです。頭の中がぐちゃぐちゃになっているまま、続けてしまう。ペンを置くことで、新しい気持ちで問題に向き合えました。ペンを置くのは自分の自信の表れだとも思っていました。「絶対に時間内に解き終わる、時間が足りなくなるなんてことはない」と思えるからこそ、いったんリセットできたんです。実際には国語と物理、化学でペンを置きました。化学は最後の科目で疲れていたので、頭が上手く働かず、何回も置きました(笑)。

その結果、センター試験では91%取ることができました。センター利用ができる私立大学に出願していたので、一次の合格通知がたくさん届きました。これにはテンションが上がりました(笑)。国公立を目指す場合でも、センター利用ができる私立は出願しておいた方がいいと思います。その後の入試を、気分良く受けることができます(笑)。

現役合格のために大事なことはなんでしょう?

私の経験で言えば、遅くとも高校1年生のときから先取りを意識した勉強をしていかないと厳しいと思います。特に理科は、学校の授業が入試直前まで続くので、十分な志望校対策ができず、現役合格は非常に難しいと思います。私は、新しい分野を先取りし、分からないところは先生に質問して理解するようにはしていたのですが、演習量が不足していたため、高校3年生になってから苦労しました。もっと早くやっておけば良かったと、いつも後悔していました。

ただ、私の場合は中高一貫校に通っていたので、高校受験がありませんでした。だからこそ、中学3年生から高校2年生の間に、英語の基礎をひたすらやることができたんです。これが半年遅れていたら、得意の英語すら間に合いませんでした。ですから、結構ギリギリだったとは思います。もう一度受験するなら、もっと早くから始めます。

参考:工藤塾合格者インタビュー(杉本 望拓くん)