医学部地域枠の今後

地元出身者限定へ

厚生労働省は、7月31日に都道府県知事に通知した「医療計画について」において、「医学部の地域枠入学生を地元出身者に限定する」よう求めています。実際に、2018年から名古屋大学、山口大学、大阪市立大学、愛知医科大学、藤田保健衛生大学、大阪医科大学で、地域枠の出願資格が県内出身者に限定されました。名古屋市立大学でも、中部圏内出身者から愛知県出身へと変更されました。また、三重大学でも地域枠の出願資格を「三重県出身者に限る」ことへの変更を予告しており、今後、この流れは加速していく見込みです。
参考:2018年度入試の主な変更点 国公立大学医学部 私立大学医学部

6年間で1,440万円の貸与が受けられる「静岡県医学修学研修資金」も、現在は全国から希望者を募集していますが、今後は影響が出てきそうです。静岡県の地域医療課によると、「医師不足の現状から、県としては広く募集したい」としながらも、大学の地域枠(26人※)については今後、静岡県出身者に限定される可能性があるとのことです。
※内訳
●川崎医科大学10人
●順天堂大学5人
●近畿大学5人
●東海大学3人
●帝京大学2人
●日本医科大学1人

受験資格が限定されることにより、入試倍率が低下することが予想されるため、「上記大学を目指している」「将来的にも静岡で働きたいと考えている」県出身者にとってはうれしい変更になるかもしれません。ただし、他地域の地域枠入試は受験できなくなりそうです。

⬇️医療計画について(厚生労働省通知)

(地域枠及びキャリア形成プログラムについて)
大学所在都道府県の出身者が、臨床研修修了後、その都道府県に定着する割合が高いことを踏まえ、地域枠の入学生は、原則として、地元出身者に限定(注1)。
(注1)地域医療介護総合確保基金を活用して、都道府県が学生に奨学金を貸与している地域枠(他の都道府県に所在する大学医学部に設置された地域枠を含む。)については、原則として、地域枠を設置している都道府県の地元出身者に限定すること。また、その他の地域枠に関しても、地域枠の趣旨に鑑み、他の地域枠医師の定着策を講じている場合を除いては、地域枠を設置している都道府県の地元出身者に限定することが望ましいこと。

(中略)

大学所在都道府県における臨床研修修了者は、臨床研修修了後、大学所在都道府県に定着する割合が高いことから、原則として、大学所在都道府県において臨床研修を受けることとするよう、キャリア形成プログラムに位置づけること。(注3)
(注3)他の都道府県に所在する大学医学部に設置された地域枠については、出身都道府県以外の大学に進学した場合であっても、臨床研修を出身都道府県で実施した場合、臨床研修修了後、出身都道府県に定着する割合が高いことから、原則として、出身都道府県において臨床研修を受けることとするよう、キャリア形成プログラムに位置づけること。

厚生労働省 医療計画より抜粋