医学部合格応援サイト「医学部ラボ」は、医学部専門予備校である工藤塾が蓄積してきた医学部受験に関するノウハウや情報を無料で公開するとともに、静岡の医師不足という現状を伝え、奨学金制度の存在を広め、医師の仕事のやりがいを発信していくことで、医師を志す小中高生を増やすことを目的としています。

2017年6月のサイト開設から約1年が経ち、おかげさまで見てくれている方の人数も徐々に増えてきました。この機会に、本サイトの現状とこれからの展開をお伝えいたします。

工藤塾塾長 工藤勝彦

医師という仕事を知ってほしい

このサイトを立ち上げたのは、医師とはどういう仕事なのか、やりがいや大変さ、そういうものをより広く理解してもらい、意欲のある人、能力のある人に、どんどん医師を目指してほしいという願いからです。静岡の医師不足という危機感もありますが、それだけではなく、職業の意義をよく理解した上で、チャレンジしたいという人たちに、ぜひ医師になってほしいと考えています。

どうしたら医学部に受かるのかというテクニック的な情報は世の中にあふれています。でも、そんな表面的なことではなく、医師という職業に焦点を当てて情報を発信していきたい。すごく専門的なことなんだけど、こういった病気に対してこんな手術をやっている専門医がいて、それを見てすごい! と素直に感動する。「医師ってすごい」と素直に感じてもらいたいですね。そういった感動はその人の中に残っていくと思います。医学部ラボでも、そういった情報を発信できるようにしていきたいですね。

もちろん、医師になるばかりが正しいわけでもありません。いろいろなことに興味を持ち、挑戦するのはいいことだと思います。ただ、最初から医師になる選択肢を排除している人がとても多いと感じています。多くの人のイメージとしては、「医師になるのは非常に難しい」「医師になるにはお金がかかる」「一方で医師になると給料は良い」といったところでしょうか。やはり、一般的には、進路としての医師は馴染みが薄い職業だと思います。

そこで、小中高生が将来を考えるときに、医師という職業を検討してみない? というきっかけになるサイトの必要性を感じました。将来の選択肢として、1度は医師という職業を検討してみる人を増やしていければと考えています。

ただし、単に「お金持ちになれそうだから」だけだと、モチベーションが長くは続かないと思います。工藤塾の卒業生をはじめ、私の兄弟親戚にも医師がいてよく話を聞く機会があるのですが、仕事自体は大変です。常に勉強し続けなければいけないですし、命と向き合う責任を、リスクを含めて負わなければいけません。

医療はどんどん高度化していきますし、高齢化が進む中で、従来とは違った病気に対処していく必要が出てくる可能性もあります。社会が変化していく中で、医療も変わっていかなければいけません。現在の医師の方々も変わろうと思って必死で勉強しています。

覚悟があるなら奨学金を活用しよう

日本私立医科大学協会の資料によると、私立医科大学における学生1人の1年間の教育経費は1,833万円(平成28年度)、つまり6年間で1億円以上が費やされていることになります。私立大学医学部の学費は6年間で約1,900万円〜4,700万円と高額ですが、実際には1億円との差額を国の補助金や大学への寄付金等でまかなっていることになります。国公立大学医学であれば6年間の学費は約350万円ですから、ほぼ1億円が国からの補助です。どうしてそこまで医学部生に投資をするのかといえば、将来は医師になって社会に貢献してくれると思うからなのです。

参考:日本私立医科大学協会HP

医師になるための奨学金が数多くあるのも同じ理由です。社会が自分自身の存続のために投資しているんです。だからこそ、医学部ラボでは、医学部に進学する可能性を高める制度として、各大学や自治体の奨学金情報も積極的に発信しています。医学部卒業後に一定期間指定された病院で勤務すれば返還が免除される奨学金があるのは、医学部くらいではないでしょうか。しかも、例えば「静岡県医学修学研修資金」では、貸与額は6年間で1,440万円にも上りますし、貸与枠は毎年120人もあります。

もちろん、気をつけてほしい点もあります。それは、貸与された奨学金が学生本人の借金になるということです。返還免除条件を満たさなければ一括返済を求められることにも注意が必要です。ただ、奨学金をもらい、それが借金になるというのは、医学部生に限らず、どの学部でも一緒です。やりたいことをやろうと思ったら、環境によっては頼らざるを得ません。努力して医学部に入るだけの学力を身に付けたとしても、お金がなければ進学できないという状況はあり得ますし、経済面から医学部受験を選択しない学生も少なくありません。

でも、少し考えてみてください。年齢が若いことの圧倒的なプラス面は、未来があるということです。50歳になって「あのときもう少し頑張っていれば、医師になれたのに」「本当は医師になりたかった」という大人は、いっぱいいると思います。そこで、あきらめずに道を切り開いていくのが若さの特権だと思います。

挑戦するのは若い時期しかありません。60歳になって医師になろうと思っても、まず不可能です。そういうときに悔いが残らないようにしてほしい。挑戦しなかった場合には後悔が残りますが、やったけどだめだったという経験は糧になります。プラス面が大きいと思います。あれだけ頑張って受験勉強した。でも医学部には届かなかった。それはそれで、自分の中で区切りをつけやすいのではないでしょうか。

だからこそ、経済面が医学部進学の妨げになっているのであれば、奨学金を検討することをお勧めしています。後は、覚悟をもって医師になろうと思えるかどうかです。必ず医師になって奨学金の返還免除を受けるという覚悟を持って決断すれば、自然と周りがフォローしていこう、手伝ってあげようと思うのではないでしょうか。

医学部受験は越えられないハードルではない

医学部の偏差値は、国公立・私立を問わず最低でも62.5以上(河合塾データより)と高く、「自分には無理だ」と思う人もいるかと思いますが、私はまだまだチャンスがあると思っています。自分自身が医師になりたいと思って偏差値62.5を取ることは、果たして不可能なことでしょうか。私にはそうは思えません。実際に、成績が飛躍的に伸び、偏差値50以下からでも医学部合格を勝ち取った事例を、毎年のように見ています。

とてつもない天才・秀才しか医師になれないわけではありません。難度がトップクラスの医学部だとそういう面もありますが、自分の得意不得意を分析し、自分に合った医学部を選ぶことで、合格可能性を高めることはできます。決して越えられないハードルではありません。ただし、努力が必要なことも間違いありません。人間である以上、遊びたい、学生生活を満喫したい、という気持ちは出てくるものですが、それを我慢して、医師を目指さないといけない。何をやるか決めるということは、何をやらないかを決めることと同じなのです。

それに、勉強する努力をしなかった、あるいは勉強しても内容が身に付かなかった人に診察してもらいたいと思うでしょうか? 命を預けられるでしょうか? 医師は職業の特性上、どうしても専門性が高くなります。これは知っておいてほしいのですが、医師には常に学び、知識や技術を身に付け、それを患者さんにフィードバックし続けていくことが求められます。医学部の偏差値の高さは、医学を学び、体得し続けられるかを見極める最初の適性検査という面があるからこそなのです。

医学部ラボでは、学習面に関する工藤塾の知見やノウハウもどんどん無料で公開しています。情報を隠して、塾に来たら教えてあげるというのは、医学部予備校がやることではないと考えています。すべてオープンにするので、それを多くの人に活用してほしいと願っています。そして、医学部ラボを見て医師って素晴らしいと感じてもらい、医師を志す人が増えていってほしい。そのために医師という職業に興味を持つ人を増やすという草の根活動をしっかりとやっていきたいと思います。まったくお金にならないことをやっているのが、この医学部ラボの素晴らしさであり、存在意義かなと考えています(笑)。