静岡から医学部へ 〜Sさん(浜松医科大学 合格)〜

Sさん(静岡高校卒)
2020年度入試で浜松医科大学に合格

もともと神戸大学に通っていました。医学部受験に至った経緯を教えてください

食べ物に興味があって農学部に通っていました。食べ物の味を作っている開発側の立場で、機能性食品等の研究をやりたかったんです。でも、大学で学んでいくうちに、作る側ではなく、食べた人の反応の方が気になり始めました。研究室を一通り見て回ったのですが、センサーや機械ばかりで、全然人が出てこないんです。人の反応が見たいのに、機械の反応ばかり見ている状況でした。それで「何か違うな」と違和感を感じました。

私は人と関わるのも好きですし、実際に人が反応しているところを見たいという気持ちがどんどん強くなっていきました。人の研究をするのであれば、農学部ではないんじゃないかと。そう悩んでいるときに、大学の医学部ボランティアで小児科病棟を訪問する機会があり、やっぱり人と関わるのはいいなと思いました。それで、医学部で人の研究をしようと考えました。

夏から医学部受験に挑戦することになりました

通う塾を探すところから始めました。最終的には、医学部専門予備校の工藤塾に通って目指すことにしました。自習の環境が整っており、講師が社会人のプロ講師のみで、緊張感をもって勉強できると思ったのが、工藤塾に決めた理由です。

現役時代はどのくらいの学力だったのでしょうか

高校入学当初は校内順位がよかったのですが、3年間上位をキープできたのは国語くらいでした(苦笑)。苦手な数学はようやく平均点を取れるくらいのレベルでした。受験生のときは2次試験対策に集中し、センター試験対策をあまりやっていなかったため、センター試験がぼろぼろで、8割を切ってしまうような状況でした。

今年度の勉強で工夫したことを教えてください

取り組む教材をできるだけ少なくしました。いろいろなことに興味を持ってしまうので、いろいろな教材に手を出すと、収集がつかなくなると思ったんです。それも、基礎教材にとどめました。数学の青チャートは、気になったときは見ましたが、基本的には基礎問題精講だけで勉強しました。あとはいろいろな大学の過去問です。他の科目も、教科書と一緒に購入したセミナーとかエクセルとか、本当にそれだけにしました。

辛かったことはありますか?

夏から受験勉強を始めており、自分には時間がないと自覚していましたから、ひたすら勉強するしかありませんでした。辛いというのとは少し違うような気もしますが、年末年始のような区切りのイベントも、毎日変わらず勉強していたので、日にちの感覚が無くなりました。なので、今は(※合格発表の1週間後)ちょっと混乱していて、感覚を取り戻しているところです。

センター試験当日のことを教えてください

1日目は、今年はいけると手応えを感じました。やや不安のあった国語の現代文も読みやすかったです。2日目の数学でミスしてしましたが、何かトラブルがあるとすれば数学だなと思っていましたし、次の化学と生物は心配していなかったので、割り切ることができました。

2次試験は運が良かったとか

数学の3問目がデータ系だったのですが、昨年のセンター試験のデータ問題で、数値変換の裏話みたいなのがあり、気になって調べていたんです。それがそのまま出題されました。理由付けが問題になっていて、「読んだ内容だ」と。興味を持ったら調べる習慣があるので、それが今回は生きました

英語も幸運でした。1つ目の文章が、昨年新聞を読んでいて面白そうだなと思った高橋政代さんについての話だったんです。iPS細胞を使った目の網膜移植に取り組まれている方なのですが、自分で行動されているところが面白そうだと思って調べたことがあったので、すごく読みやすかったです。

英作文に関しても、最近、総合大学系の出題が増えているなと感じていて、あらかじめ準備してなかったものに対してどうやって書くかということを対策していました。

生物も、記述が全部解いたことがある問題ばかりだったんです。他大学の面白そうな問題を拾って解いていたら、それがそのまま出題されたりとか。いろいろと興味をもってやっていたことが、入試に繋がりました

面接では順番が最後だったのですが、私としてはすごく良いことだと捉えていました。最後なので、何かしらの印象には残るだろうと。面接自体も、最初から和やかな雰囲気でした。自己PRからスタートだったのもすごく良かったです。一度大学に行っていることや、他分野の研究をしたことなど、他の生徒とは違う印象を伝えられたかなと感じています。

そして、合格発表の日を迎えます

他の人がいる前で確認するのは無理だなと思って(笑)、工藤塾の近くにある公園で確認しました。合格だと分かって、本当に飛び上がりました。うれしいと言うよりは、開放されたという感覚が大きかったです。

大学に通っていた半年間も、「まだ終わっていない」「もっとやりたいことがある」という思いが常にあったので、まだ受験は続いているんだという意識があったんです。大学生活を楽しんでもいましたが、それなりに思うところがありましたし、今年だめだったら、どれだけ続くんだろうという恐怖もありました。だからこそ、開放されたというのが素直な気持ちです。

医学部受験を振り返って

この1年間に出会った人が、誰一人マイナスの言葉を使わなかったことに感謝しています。仮面浪人のようなことをしたわけですから、大学の友人からしたら、私はこだわりがあって通っているのに・・・と思われても不思議ではありません。それなのに、みんなが応援してくれました。アルバイト先の料理長の方も、「今から医学部を目指すのは大変だけど、Sさんならきっと行けるよ」と言ってくれました。本当に人との出会いに恵まれました。

これまでを振り返ってみても、小さい頃からいろいろなことに興味をもって、成長するにつれて志望も変わっていきましたが、その時々で出会ってきた方々が、とても温かく接してくれました。「自分はこうしたい」と方向転換しても、「じゃあ行っておいで」と、優しく送り出してくれました。

医学部に合格したことで、ようやく歩く道が定まりました。これからも、おそらく分岐はしますが、医学という方向に進めるので、ここからが本当の人生が始まると思っています。

将来はどんな医師になりたいですか?

まずは、研究と臨床を繋げられるような医師になりたいです。そして、私は精神科を志しているのですが、今までは薬で症状を抑えるような治療が少なくないと感じています。それを、患者さんの個性を生かして、生活もちゃんとできるという、その人の人生を尊重できる医師になりたいですね。多様性をシャットアウトせずに、「そういうこともあるよね」と受け入れられる人になりたいです。

多様性という意味では、一度大学に通ったことも生きています。総合大学だったので、本当にいろんな人たちと出会いました。文系の人たちも多く、思考方法の違いを実感しました。アルバイト先では社員の方やお客様など、社会人の方とも交流する機会がありました。短い期間ですが、いろいろな立場の方たちに出会うことができました。

大学4年生の先輩たちは、文系であれば就職活動が終わっていたり、理系であれば大学院入試を控えていたり、ちょうど皆さん一度は進路について考えていた時期だったので、「入試のときはこうだったし、いまはこうだよ」と経験を教えてもらえました。引き出しがすごく増えたなと実感しています。

これから医学部を目指す人にアドバイスを

私みたいに勉強が得意ではない人も、体力があればなんとかなります(笑)。受験勉強において、できないことはないと思うんです。理由をつけてできないと言うのは簡単ですが。本当にやりたいと思えば、親の反対も含めて、なんとか乗り越えられると思うんです。無理とか、できないとかは、簡単に言わない方が良いと思います。