静岡から医学部へ 〜佐野 麟太郎くん(昭和大学 合格)〜

佐野 麟太郎くん(加藤学園暁秀高校卒)
2023年度入試で昭和大学に合格

医師になろうと思ったきっかけを教えてください

亡くなった祖父が歯科医をしていたのですが、ものすごく気さくな性格だったんです。いつも周囲に患者さんがいて、いつもみんなニコニコしていました。幼心に、「仕事でこんなに人を笑顔にできるっていいな」と思いました。ですから、最初は歯科医になりたいと思っていました。

最終的に医師を目指すことになったのは、医師である父の影響が大きいです。父の病院に遊びに行ったり、手伝いを頼まれて行ったりしていたのですが、祖父が患者さんを笑顔にして帰していくのと似たような光景を何度も目にしました。やはり、医師はやりがいのある良い仕事だなと感じました。

高2のときに学校で三者面談があり、担任の先生に「今から頑張っても遅くはないぞ」と励ましてもらい、「医師を目指していいんだな」とホッとしたことを覚えています。高1のときから医学部受験が険しい道だということは分かっていたのですが、許可をもらえたというか、自分が目指してもいいんだと思えました。

目指している診療科はありますか?

自分自身が苦しんだ経験から、皮膚科に興味があります。ただ、ゆくゆくは静岡の地域医療を担っていきたいと考えているので、必要とされる診療科に進みたいと思っています。実際に、近所の病院が廃業して、一つの病院への依存度が高まっている状況を肌で感じているので、自分だけで決めるというよりは、必要とされる知識・技術を身に付けて、地域に貢献できるような医師になりたいです。

医学部現役合格は叶わず、浪人を決意します

父の後を継ぐという気持ちが強かったので、浪人することに迷いはありませんでした。浪人すれば医学部は届くと思って、決断しました。

得意科目と苦手科目を教えてください

得意科目は化学と英語です。化学は、1浪目は、個人的に模試があまり振るわなかったと感じていました。自分で解いているときよりも、なんかパフォーマンスが低いなと。でも、いざ入試が始まると、「あれ? 医学部の化学は結構解けるな」というような状況でした。そこから得意科目になりました。

模試は結果よりも、どこができてどこができなかったかを把握するツールとして活用してほしいですね

それはありますね。復習するための材料としていました。それを繰り返して、本番で得意になっていたことに気付きました(笑)。

英語は、現役の時から自信がありました。新しい言語を知ることがゲームみたいで、意味を知ったり勉強したりすること自体に楽しみがありました。ですから、幼稚園のときから「英語って面白い」と感じていました。英語の面白さに気付かせてくれた親には感謝です。加藤学園暁秀という、英語教育が盛んな環境も良かったと思います。

苦手科目は、強いて言えば数学でした。ただ、浪人して医学部専門予備校である工藤塾に通うようになり、1浪目の入試に臨んでいる辺りで、意外と解けていることが実感としてあり、「数学は別に苦手ではないな」と思えるようになりました。なので、2浪目は自信を持って入試に臨むことができました。

昭和大学は、静岡県地域枠で受験しました

静岡に戻りたいという気持ちは強いですし、浪人までさせてもらったので、親の負担を減らしたいと思って、地域枠で受験しました。修学資金を貸与してくれるので、金銭面で楽になるかなと考えました。
静岡県医学修学研修資金

学科試験の手応えはどうでしたか

生物は、昨年もそうだったのですが、できたと思います。記述がやや難しかったのですが、対策していたので大丈夫でした。

化学も解き切れたと思います。比較的易しめだと感じていたのですが、手こずった受験生も多かったみたいで、差をつけることができたんじゃないかなと思っています。

昭和大学は英語と数学(または国語)をセットで、140分で解くじゃないですか。ある予備校の解答速報を見ると、英語が難しかったと書いてあり、英語でみんな時間を使い過ぎて、本来数学で点が取れる人が、時間が足りなくて最後まで解き切れなかったということがあったようです。

私は英語が比較的早く解き終わったので、その分、数学にじっくりと取り組むことができました。岩手医科大学もそうですが、英語が得意な人は、英語をいかに早く処理して、数学に時間を当てられるかが大事だと思います。その時間配分がうまくいきました。

数学も手応えとまではいかないですが、今年受けた中ではできた方でした。大問1が手こずりそうだったので、早めに大問2以降に取り掛かったことも良かったです。

1次合格の自信はありましたか

配点が分からず、あくまでも体感なので絶対とは言えませんが、手応えはありました。

そして2次試験に進みます

小論文ではダイバーシティが流行しているという話から、現代におけるダイバーシティとは、それによって生じている問題は何か、それを解決したらどういう利益が見込めるかという問題でした。その上で女性医師の働き方に触れていて、これがヒントかなと思いました。

女性医師のダイバーシティ化を図り、働き方の改革を進めていけば、医師不足という根本的課題を少しでも軽減できるのではないかという方向で書きました。

面接ではどんなことを聞かれましたか?

1つ目は、「アトピー性皮膚炎という持病があるけど、寮生活は大丈夫ですか」という質問でした。2つ目は、それに続いて「寮生活は4人1組の部屋だけど、その中で折り合いがつかなかったり、仲が悪かったり、どうしても合わないなという人がいたら、どう対処しますか」と聞かれました。面接対策の想定通りの質問だったので、しっかりと答えられたと思います。

答え方を間違えたのは「あなたにリーダーシップはありますか」という質問です。私は「ありません」と答えてしまいました。「全く無いわけではありませんが、自分から進んで何かをやるというよりは、本当に困ったときにしかリーダーシップを発揮できません」と伝えたら、「ん?」と怪訝な顔をされたので、「これは失敗した」と思いました(苦笑)。ですから、正規合格できてホッとしました。

医学部受験に向けて、やっておいた方がいいことはありますか

絶対に数学と英語です。私は中高一貫校に通っていたのですが、内部進学者のうち、進学クラスは高1のときには高2の内容を学習し、高2のうちに高3の範囲まで終わらせています。そういう人たちを見ていると、やはり時は金なりで、解いた問題の数が物を言うんだなと感じました。

私の周りの意識の高い人は、中2の時点で工藤塾に入り、医学部現役合格を勝ち取っていました。勉強を開始するのは早ければ早いほどいいと思います。大学受験という意味では、中高一貫校は有利な環境だと思います。

将来はどんな医師になりたいですか

祖母の足が悪かったのですが、不自由さや、健康じゃない状態の辛さを目の当たりにして、そういった状態から解放してあげたいと思うようになりました。病気をしている人を1人でも減らしたいという思いで、受験勉強も頑張りました。健康寿命を延ばせるような医師になりたいです。

※参考:工藤塾合格者インタビュー(佐野 麟太郎くん)