静岡から医学部へ 〜中野 優哉くん(埼玉医科大学 合格)〜

中野 優哉くん(静岡高校卒)
2023年度入試で埼玉医科大学に合格

医師になろうと思ったきっかけはなんでしょうか

小学生の頃に、身近な人にどんな職業かを聞く宿題が出たんです。そこで祖父にお願いして聞いてみたところ、医師という職業の素晴らしさを知ることができました。聞くだけでなく、インターネット等で調べてみると、命を預かるという点でも、やりがいという点でも、調べれば調べるほど良い点が見えてくるので、日に日に医師になりたいという気持ちが強くなっていきました。

その中で、一番大きな理由はなんだったのでしょうか

昔でいうと、やはり祖父の働いている姿がとても格好良く見えたというのがあります。たまたまなのですが、同級生が頭を縫わなければいけない怪我をしてしまったことがありました。祖父が手当をしたのですが、頭を縫うときに、すごく手際がよかったみたいで、後日私に「本当にすげえな」と言ってくれたんです。そういう体験があるとすごく誇らしいですし、自分もそうなりたいと思ったのが一番です。

将来はどんな医師になりたいですか?

人の話をしっかりと聞ける医師になりたいです。整形外科を目指しているのですが、患者さんは心配な気持ちで病院に来るじゃないですか。自分がよく話すというよりも、相手の心配事をすべて聞けることが大事かなと思っています。そのためにも、コミュニケーション能力は、もっと磨いていきたいです。

医師を目指す中、2浪での合格となりました

現役時代は偏差値で58くらいでした。なので、まあ、受からないで終わったという感じです(笑)。模試の判定もEばかりでしたし、自分自身で受かるわけがないと思っていました。自業自得です。

1浪目は、浪人とはどういうものかを、私がまったく分かっていなかったので、塾なんてどこにも行かなくていいんじゃないかとすら思っていました。でも、親が「それは無理だ」と。「せめてこの3つから選んで」と提示された中から、一番見た感じが良かった大手塾に行くことにしました。

実際に通ってみて、授業が分かりやすくはあったんですけど、やっぱり生徒がたくさんいて質問できないですし、自習室がすぐ埋まっちゃうんですよ。結局は授業を受けに行くだけだったりするので、それだと映像授業とあんまり変わらないじゃないですか。なので、段々と飽きてきてしまって、自分にはあまり合わなかったなという印象です。

偏差値も多分60くらいでした。1年浪人して伸びた偏差値が2だと、正直低いじゃないですか。なので、あまり学力の伸びは感じていなかったです。

何が良くなかったのでしょうか

1つは、長時間、寮の個室で勉強していたことです。ちょっと疲れたと思って後ろを振り返ると、すぐにベッドがあるんですよ。なので、疲れたなと思ってベッドに入ったら、数時間経っていたということが結構ありました。自業自得なんですけど(苦笑)。

あと、先生に質問できないので、分からなかったところがあると、科目によってはそこから先に進めないじゃないですか。でも、そこを見て見ぬ振りをしてしまうというようなこともありました。

疑問点を解消できず、そのまま引きずってしまったのが伸び悩んだ理由じゃないかなと思っています。加えて、自習時間の単純な少なさもあるかなと反省しています。

2浪目は医学部専門予備校である、工藤塾に通いました

大人数の集団授業だと質問できないことを痛感したので、とりあえず少人数、多くても10人くらいのところにしようと思い、工藤塾に決めました。

授業では積極的に質問できますし、自分が間違えていてクラスの仲間も間違えていたりすると、「ここは間違いやすいんだ」と思って、重点的に勉強するようになります。差がつくポイントが分かるので、良かったなと思います。

少人数クラスのメリットは他にもありますか?

1人でやり過ぎてしまうと、本当に疲れてしまいます。すごく切り詰めている人って、全然楽しそうじゃないというか。勉強が楽しいかどうかと言われると正直分からないですけど、その中でもちょっとした楽しみを入れながら勉強しないと、1年間って長いじゃないですか。1週間なら1人でずっと勉強できます。でも、1年間となると、めちゃくちゃきついんです。

そういうことを考えると、少なくとも、一緒に競ったり、教え合える仲間がいると、励まし合うこともできますし、お互い褒め合うことで「伸びているな」という実感が湧いてきます。「この問題を解こう」と言って自分だけサボるわけにもいかないですし、勝ちたいという気持ちも生まれます。そして明日も頑張ろう、来週も頑張るかという繰り返しで、結果的に1年間頑張れたのかなと思います。

競い合って、相手ができていなかったら「やらないとやばいぞ」とか言ってあげる友だちの存在は、すごく大きいかなと思います。ライバルと言うよりは同志、仲間ですね。

得意科目を教えてください

好きな科目は数学なんですけど、点数を取れるのは化学かもしれません。数学は本当に分からない問題が出てきたりするのですが、化学ではほとんどそんなことはありませんでした。

数学は、いろいろな解き方があるのと、ひらめきクイズのようなイメージを持っていて、ゲーム感が強かったので好きでした。ゲームを楽しんでいるような感覚がありました。

辛かったことはありますか

苦手科目である英語の実力の伸びが…。英語って2次関数みたいに上がるじゃないですか。最初の方が上がりにくい。工藤塾での授業が始まってみると、一緒に勉強していた仲間がめちゃくちゃ英語ができたので、その時期が辛かったです。勉強していても差が縮まっている気がしないんです。違う科目を勉強した方がいいんじゃないかという考えが頭をよぎったりもしました。

それでも英語の勉強を続けられた理由はなんでしょうか

担任の先生が、英語はそういうものだということを、勉強を始める前に言ってくれていたことです。勉強を始めてから言われても、励ますためなんじゃないかと思ってしまいます。始める前に言われていたので、今はそういう時期なんだ、本当に最初は伸びないんだと冷静に現状を把握できました。それで耐えることができました。

医学部を目指している人たちに何かアドバイスをお願いします

苦手な科目を得意な科目で補おうと思わない方がいいと思います。苦手な科目を、せめて苦手ではないというくらいまでには努力しないと。そうしないと、得意な科目でミスをすると、合格が厳しくなってしまいます。

私自身、得意科目1つ、苦手科目1つで、プラスマイナスゼロにしたくなっちゃうんですよ。そうではなく、苦手科目もしっかりと勉強することが大事だと思います。受験直前であれば仕方がないですが、最初から苦手を放っておくような勉強はしない方がいいと思います。

やっておけば良かったという勉強方法はありますか?

早く知っておけばという意味では、英語の長文をひたすらやる勉強法です。英語の単語がある程度自分の中で身に付いたら、もう単語帳ではなく長文をひたすらやるというものです。文章の中で単語も覚えて、熟語も覚えて、長文の解き方も覚えるというやり方です。

実際にやってみて、良かったと思っています。結局、英語は長文読解ですから、長文をひたすらやるというのは理に適っていると思います。単語の暗記だと、単語と意味を対応させて覚えるだけですけど、文で覚えると、前後の文脈から意味を覚えることができます。

それと、現役のときや1浪のときは、自分よりはるかに学力がある人と一緒に勉強したり、自分より学力が低い人と一緒に勉強したりしてしまっていました。学力差があると、質問レベルが全然違ってきてしまい、あまり良くなかったなと思います。

英語の長文中心の勉強と、レベルの合う人と一緒に勉強することが、もっと早くからやっておけば良かったことです。

浪人生活は長かったですか? 短かったですか?

今年はすごく短く感じました。勉強を辛いと思ったことがなかったです。勉強をした後に疲れを感じることはありましたが、「止めたいな」と思いながら勉強をしていたことはありません。1日が過ぎるのが早かったです。

勉強しているときは、勉強しているからこそ時間が経つのが早く感じて、終わったら疲れて眠くなるので、1日が早いんですよ。その繰り返しで、この1年間は短かったですね。

苦手な英語をやっていて、休憩に数学をやるとか。自分の中では、数学は勉強ではありますが、好きな科目なので、英語の休憩のような捉え方なんです。ですから、休憩時間を多く取っているような感覚です。好きな数学と点が取れる化学を1日の始めと終わりに勉強すると、勉強が軽く感じるんです。「この時間は楽だったな」と思えるよう工夫しました。

1日同じ科目をやっていると飽きますし、それが苦手な科目の日だと、体調が悪くなるような気になります。頭が痛い気がするとか。それだと、サボりたくなってしまいます。時間を区切って複数科目を勉強するようにすると、勉強が嫌になりにくいかなと思います。