静岡から医学部へ 〜Tくん(三重大学 合格)〜

Tくん(清水東高校卒)
2020年度入試で三重大学に合格

まずは合格おめでとうございます

ありがとうございます。

2年の浪人生活は長かったですね

そうですね。もうやりたくないです(苦笑)。

現役で迎えたセンター試験では、体調を崩してしまいました

国語の試験開始から3〜4分くらいで、気を失う寸前くらいまで体調が悪化してしまったんです。それまでは何ともなかったので、本当に突然です。いったん会場の外に出て、保健室で体温や血圧を測ったのですが、熱も高く、会場に戻ることができませんでした。試験を受けられるくらいまでに体調が回復したのは、国語の試験の残り10分くらいです。

さすがに問題文を読む時間はないので、漢字と古文の語句問題だけ取り組んで、あとは適当にマークすることしかできませんでした。国立と自治医科大学しか出願していなかったので、「今年はダメだな…」「浪人か…」と覚悟しました。感情としては、悲しいとかではなく、何とも思わない「無」の境地です。

2日目へのモチベーションはどうだったのでしょうか

浪人することが決定的だったので、来年に繋げようと思いました。医学部専門予備校である工藤塾に通っていたのですが、お世話になった先生方に、恩返しではないですが、ちゃんと点数を取って実力がついたことを証明しようという気持ちでした。

40点くらいだった国語を除くと、全体で95〜96%、国語を含めた全体でも80%を超える得点率でした。それでも合格できないのが医学部受験のハードルの高さです

本当に医学部受験は厳しいです。落ちると何も残りません。

浪人が決まるわけですが、1浪目では合格できませんでした

浪人が決まった2月の上旬から3月末まで、まったく勉強しなかったんです。それまで培ってきた学力がめちゃくちゃ落ち込んでいました。ただ、それまでの模試の成績が非常に良かったんです。全科目校内で1位を取っていましたし、静岡県で1位を取ったこともありました。

そのため、大手予備校に無試験で、どの講座を受講してもOKということになりました。そこで、せっかくなので最上位クラスに入ったんです。しかし、そういったクラスは、現役のときに基礎が当たり前にできていて、旧帝大を目指すような人たちでも解けないような問題を徹底的にやるという形でした。通常であれば捨てていい問題も解けるようにして、余裕で合格しようというような内容でした。

私は受験後にサボって基礎もあやしくなっていたので、そんな問題ができるはずもなく、みんなの足元にも及ばないといった状況でした。そんなクラスに入ってしまったので、失われた基礎力を取り戻すような授業がありませんでした。授業が多く、時間割が詰まっていたので、復習に追われ、自分で基礎をやる時間もなく、1年が過ぎてしまいました。

最初の段階でクラスを下げるなり、出席しない授業を決めるなりすれば良かったのですが、そのまま走ってしまって・・・。結果的に、成績が上がるどころか、下がってしまいました。そして、結局行ける大学がなく、2浪が決まってしまいました。

授業はどのくらいあったのでしょうか

曜日にもよりますが、多い日は朝の9時から夜の7時まで授業がありました。少ない日でも、朝の9時から夕方4時までといった時間割でした。学校みたいなものです。家から片道1時間かかったので、いくら浪人生とはいえ、時間を捻出するのが難しかったです。

授業も、やってきた問題の解説だったので、予習しなければいけないんです。そうしないと授業に出る意味がないので。授業に全部出ながら予習復習をして、自分で基礎もやるというのは厳しかったです。本来やるべき基礎の復習がまったくできませんでした。自分に必要な勉強が基礎であることは分かっていたのですが・・・。

浪人が決まった2月3月にちゃんと勉強をしていて、基礎がしっかりとしていれば、もしかしたら良い結果になったかもしれませんが、私の場合は基礎が抜けている状況だったので、学習スタイルが合いませんでした。

そういった自己分析ができるのであれば、2浪目も同じ大手予備校で、という選択肢もあったのではないでしょうか? そのような中で、工藤塾を選んだのはなぜでしょうか?

大手予備校では自分の思ったタイミングで質問ができなかったことが、大きな理由です。私は、疑問があれば、すぐに解決したい性格なんです。多少待つくらいならよいのですが、列に並ぶというのはちょっと・・・。ですから、質問がしやすい工藤塾を選びました。

2浪目に入って、勉強で工夫したことはなんでしょうか

基礎を徹底的に固めました。数学は青チャート、化学はセミナー化学、物理は良問の風といったように、各科目で、徹底的に1冊の問題集に取り組みました。各科目1冊の問題集を、「完璧にした」と言えるくらいやり切りました。

英語では、システム英単語が良かったです。最初は他の単語帳を使っていたのですが、国公立大学の過去問をやると、けっこう知らない単語があったんです。でも、友人から勧められたシステム英単語には、かなり載っていて、重宝しました。

完璧の定義が難しそうです

そうですね。私の場合は、問題集の隅々まで理解して、問題を見たら解法がすぐに出てくるような状態にまでしました。いろいろな参考書をつまみ食いして、結局完璧にやり切ったものがないという状況が最もダメだと思います。自分に合っている参考書に出会えたら、それだけを信じて勉強した方が、結果的にうまくいくんじゃないかと感じています。

センター試験の得点率は85%でした

英語の文法は1週間前から対策していて、思った以上に得点できました。自信のあった長文は、やや不安なところもありましたが、最終的には9割得点することができました。2日目の理系科目は、絶対的な自信があったので、不安なく臨むことができました。

まあ、細かいミスをしてしまったので、想定していた得点率の中では、最も低かったですが(苦笑)。

2次試験には自信を持っていました

三重大学の過去問を解いた感触が良かったんです。センターで多少落としても、2次で挽回できると感じていました。

ただ、実際の2次試験では、数学の問題形式が変わっていて、最初は少し焦りました。しかも、大問の1つ目の問題が解けない。それでも、自分が持っている知識を総動員して、手を動かし続けた結果、解法にたどり着くことができました。粘り勝ちです。大問を丸々落としていたら、さすがに他科目でカバーすることは難しかったので、本当に良かったです。

合格したときの気持ち

正直、うれしいという感情よりも、「やっと受かった」と安心する気持ちが強かったです。

現役で合格できるだけの学力を身に付けながら、2浪してしまい、受験の怖さを味わったわけですが、これから医学部、難関大学を目指す人にアドバイスをお願いします

あきらめないこと・・・ですかね。私は、小さい頃から医師になりたいと思っていたんです。特に、幼稚園の年長くらいのときに、祖父が急に倒れたことが大きなきっかけとなりました。救急車は10分くらいですぐに来たのですが、深夜ということもあり、受け入れてくれる病院が全然見つからないんです。救急車は、1時間半くらい家の前から動けませんでした。祖父はその間もずっと苦しんでいるのですが、何をしてあげられるわけでもなく。そのときに、「自分が医師だったら、処置ができるのに・・・」と思って医師を志すようになりました。

ですから、医師になるという目標は明確に持っていたつもりですが、それでも1浪から2浪というのは、壁が本当に高かったです。医師になるという夢を投げ出してでも、とりあえず受験から逃げたいという思うこともありました。この生活をもう1年するなんて考えられないと。本気で迷いました。でも、やはりあきらめずに、もう1年浪人してでも医師になりたいと覚悟を決め、今年ようやく合格することができました。

それに、今年の私の受験は粘りがちなんです。三重大学の2次の数学でもあきらめませんでしたし、実は、センター試験の数ⅠAでは残り数十秒でマークミスに気づいたのですが、あきらめずに全速力で書き直した結果、マークミスをせずに済みました。

私立の入試でも、数学が全然分からなくて「もう不合格かな」という考えもよぎったのですが、諦めずに食らいつき、合格最低点を上回る点数が取れたと思います。あきらめないということが、本当に大事だなと感じています。

ですから、現役生にしろ浪人生にしろ、悩んでいるときでも試験中でも「自分はもうダメだ」「もう1年浪人か」とは思わずに、あきらめずに最後までやり続けることが大事だなと思います。医学部に行きたいと思って勉強してきた自分を信じること、これに尽きます。私も2年浪人してしまいましたが、あきらめない大切さに気付けたことは、これからの人生にきっと役立つと思います。これが、浪人して一番というか、唯一というか、良かったことです(笑)。

※参考:工藤塾合格者インタビュー(Tくん)